爆笑問題と浦沢直樹

NHKの『爆笑問題のニッポンの教養(爆問学問)』という番組に浦沢直樹が出ていた。たまたま見かけたので見る。かなりのぶっちゃけトークを披露していて、とても面白かった。
・20世紀少年のラスト
太田が「あの結末じゃだめだ」という発言。浦沢いわく、「最初に想定した結末に向けて作品を進めていただけ」。予定通りの結末にした、ということらしい。「犯人探し」の答えを求める世論の要請に応えていないのはダメだ、と主張する太田は不満顔。
・ぎりぎりカーブ
サザエさんのようなまさに「安全運転」の漫画も素晴らしいけど、峠のコーナーのギリギリを攻めるような漫画こそ浦沢が書きたい漫画らしい。
自分も音楽を聞いたりするときは、ポップだけどチャレンジのある作品に特別な魅力を感じる。多くのロックリスナーもそうだろう。このあたりは音楽も漫画も同じだと思う。
・たけし・手塚
太田はビートたけしの焼きなおしだという批判を「その通り」と認めた上で、「仕方ない」と思っているらしい。なぜなら、ビートたけしに衝撃を受けて芸人を志したし、やりたい事と言えばビートたけしのやっていたことそのものなんだから焼きなおしと言われるのは仕方ない。それを聞いた浦沢も同じことを手塚治虫に対して思っている。まるで釈迦の手のひらの上をグルグルと飛んでいた孫悟空のように。
しかし、キース・リチャーズの言葉を引用した浦沢が「過去の物を未来に受け継ぐ」というスタンスでいたい、という旨の発言をしたのが印象に残った。
サブカルチャーの今
サブがメインになり、そのメインにマニアックな要素をプラスした者がサブとなる。そして、そのサブがさらにメインになり・・・という巡り方が良い循環。太田も浦沢も昔はサブであり、それが今ではメインになっている。次の世代が太田や浦沢に何かをプラスしてサブとならなければならない、ということらしい。今現在メインにいる太田や浦沢がサブ的なことをいつまでもやっているのがおかしいし、次世代のサブたるべき者が出てきていないのを一同で悲観していた。
・全体を見て
確か伊集院光がラジオで浦沢作品の終わらせ方を猛烈に批判していたと思う。自分は、終わらせ方の是非はともかく、浦沢が分かり易くできる話をあえて複雑にしている気がして、あまり好きになれない。このような理由で浦沢作品が苦手な自分は正直作品自体もそれほど熱心に読んでない。だから、浦沢のこういった発言が単なるビッグマウスなのかどうかも分からない。
でも、こういった発言は正直な気持ちから出てきたものだというのが伝わって説得的だったし、とても興味深いものだった。あと、浦沢本人の少年のようなキラキラした目を見て、この人が好きになった。
ちなみに、サブカルチャーの現在については、「世界のサブカルチャー」が詳しい。

世界のサブカルチャー (NT2X)

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