受験の記録・番外9

(受験の記録・目次)
*「勉強法」という本稿の趣旨と少し異なるので、当初と変更して番外扱いとした。(09/10/04/PM13:30)
番外9.試験当日について
(イ)直前に見返したもの
択一のときは、その科目ごとの復習ノート。
論文のときは、直前に見直すために注意事項を整理したノートを眺めていた。(上述)
(ロ)択一をとくときの工夫
私は、公法は「行政法憲法」、民事は「会社法→商法・手形小切手→民事訴訟民法」、刑事は「刑事訴訟→刑法」という順番でいつもといていた。
理由は、上3法の方が時間がかかる気がしたから。逆に言えば、時間をかければ基本知識でとけてしまうのが上3法。他方、下4法は、知らなければいくら時間をかけて考えてもとけない、というタイプの問題が多い気がしていた。なので、下4法で時間を使うよりも、上3法に時間を残すことをいつも考えていた。その手段の一つとして、下4法を先に猛スピードで終わらせて、たっぷりと時間をかけて上3法を片づける、という作戦をとっていた。
でも感じ方はそれぞれなので、自分でしっくりくる作戦をとるべきだろう。
(ハ)問題配布後、試験開始までの間に考えていたこと
・まず、精神集中。自然と集中できる人はそれで構わないし、できない人は意識的に集中力を高める。どんな方法でもいいだろう。自分は、どこかの本で読んだ方法を実践していた。これは、「頭の上にサッカーボールをのせているイメージ」または「頭を糸でひっぱられているイメージ」を頭に連想しながら、ゆっくりと腹式呼吸を続ける(鼻で呼吸して腹を膨らませたりひっこめたりする)というもの。このときはイメージを思い浮かべること以外については何も考えない。頭をからっぽにする。
集中できた、と自分で思えたなら次の段階。自分は、3年間ずっと使っていた図書館内の自習室の席から見える景色を思い出した。それを思い出すと、自分が3年間あの部屋でずっと勉強していたという事実を思い出し、自信が出てくる気がした。
・その次に、時間配分について考えていた。
(択一→http://d.hatena.ne.jp/fjknch/20090321/1237643275

「公法は1問2分で解いて、余った時間(計算上は10分)で飛ばした問題を処理する。刑事は刑法に時間を割きたいので刑訴を1問1分30秒〜40秒でこなして(約35、6分)、刑法を1問2分ちょっとで解く。民事では、できるだけ民法に時間を割きたいので商法・民訴は1問1分30〜40秒ペース(TKC模試だと38問なので約60分)、民法は2分1〜20秒くらい(35問で約85分)。残り時間を飛ばした問題の処理に充てる感じ。民事はとにかく民法にどれだけ時間をのこすかが勝負だと思うので、得意の商法、民訴はダッシュで解くイメージ。」

(論文→http://d.hatena.ne.jp/fjknch/20090328/1238256429
問題ごとの時間配分、構成・作成の時間配分

「民事大大問は12頁書く予定なので1頁あたり構成も含めて20分かけられる。また、配分された点数の割合数字は合計20になるのが通例なので、割合数字に12をかけた数字が、1つの設問にかけられる時間になる。たとえば、5:5:4.5:5.5だったら、60分:60分:54分:66分となる。それを20で割った数字が書くべき枚数となる。この例だと3頁:3頁:2.7頁:3.3頁。そして、経験上、答案構成にかけられる時間は4分の1くらい。民事大大問以外は、2時間1問、答案構成は4分の1の30分くらいになる。ただ、これらはあくまで理想の数字。スタ論だったらこれくらいのラップで走れるけど、本試験の過去問を解いていてこの通りになった試しが無い。なので、あくまで目安として意識しておくべき程度のもの。」

こうした時間配分を徹底的に自分に意識させる。そして、試験が始まったらまず初めに時間配分を計算してメモする。
最後に、論文の場合は、「標題→問題提起→規範→あてはめ。」「規範は、基準→理由→考慮要素→判断の仕方。」「あてはめは、事実摘示→事実評価→結論。」といった論証のイメージをずっと頭の中で連想していた。
こうした思考をルーティーンとすれば安心して試験に臨めるという効用はあった気がする。普段のスタ論・期末試験などで習慣化してルーティンとしてしまうのがいいだろう。
(二)休憩時間について
自分は環境法選択で池袋サンシャインで受験していた。同建物内にあるサンシャインホテルに泊まっており、試験会場からエレベーターで移動する時間を含めても2分弱で移動できたので、休憩時間はいつも部屋に戻っていた。
部屋に戻るとトイレに行ったり、顔を洗ったり、音楽をつけたり、体操をしたり、食事をしたりととにかくリラックスしていた。
その間に論証集にザッと目を通すなどしながら時間を過ごしていた。

(ホ)本番での注意点について
(a)緊張
これは仕方ない。自分は基本的に鈍感な性格なので全く緊張してないつもりだったが、後述のように今までやったことのない失敗をしてしまったことを考えると無意識のうちに緊張していたのかもしれない。
今までやってきたことを信じること(土日を問わず毎日何時間も勉強してきたという事実を信じる、模試で高得点だったという事実を信じるということ)、そして、「たかが司法試験」(就職活動、二回試験、実務に出た後の競争・・・。まだまだ超えるべき壁はある。司法試験はその壁の1つにすぎない。)と意識的に気楽に構えることで、だいぶ楽になると思う。
(b)体調
花粉症、新型インフルエンザ、風邪などに最大限注意する。体調を崩すというのは意識が低い証拠、と多少極端に考えるくらいで直前期はちょうどいいのではないか。大人数が集まる現場でも最大限注意を払うべき。マスク・消毒のできるウェットティッシュは持っていた方がいい。
(c)魔がさすこと
1問目と2問目の答案を間違える、答案構成に書いたのに答案に書き忘れる、事案・設問を読み間違える、時計を見間違えるなど。今考えると「ありえない」ということが普通に起きてしまう。これが本当に怖い。
自分が実際にやってしまったのは、答案構成に書いたのに答案に書き忘れてしまったこと。行政法で手続法違反の論点を全て書き忘れてしまった。これに気付いたときは愕然として、立ち直れないくらいのショックを受けた。
このように実力と違うところで失敗してしまうというのは後悔も大きいので、ぜひ気を付けてもらいたい。気をつけようと思ってもできないのがつらいところだが。
(d)ショックを引きずること
ミスをすることは仕方ないが、そのショックを引きずってはいけない。メリットが何もないからだ。
事前に気持ちを切り替える術を用意しておくといいかもしれない。自分の場合は中日(なかび)にホテルから家(実家)に一旦帰る、アッパーな音楽を聞く(自分はドラゴンアッシュをなぜかよくきいていた)、ラジオを聞く(なぜか伊集院光玉川美沙の番組をよく聞いた)、ホテルの部屋で体操するなどをして気を紛らす工夫をした。また、他の人もできてないはずだ、などと開き直った。
どうしても気持ちを引きずってしまう、という場合には次のことをぜひ思い起こしてほしい。
答案の出来に関する主観はほぼ間違いなく客観と異なる。自分も明らかに論点落としをした公法系科目が良く出来ていたりした。また、手ごたえのあった刑事系が一番よくなかった。だから、終わった後のことを自分の主観を基準にあれこれ考えても時間・労力の全くの無駄。
また、どんなに出来ている人でも自分は出来ていない、と思いこむことが多々ある。上位合格者でも正直なところ手ごたえの良さを感じている人はあまりいなかったりする。
過去のことを考えても何もメリットはない。ベストを尽くすために今必要なこと(次の科目の準備)を今するべき。目の前の課題に没頭すれば過去のミスは頭から消えるはず(このあたりのメンタルに関する考え方は番外の該当記事を参照)。
更に言えば、試験が終わった後は発表までの約4ヶ月間さんざん後悔する時間があるので、そのときに思い切り後悔するべき。