1.Xの主張
 本件削除行為が違憲
(1)信教の自由侵害
・スカーフ着用→コーランに基づく宗教的行為→20条による保護
・スカーフ着用を理由による本件削除→スカーフ着用を実質的に制約

・外的行為に出てる以上、「公共の福祉」による制限に服するが、
・スカーフ着用は、Xにとって不可欠といえるほど重要
・スカーフ着用したとして、周りに与える影響は少ない。
・事後的対応で対処しうる。
→Yの裁量の限界を超える→違憲

(2)平等原則違反
・14条1項は、法の下の平等を保障。
・スカーフ着用を理由に削除、他の候補者とスカーフ着用という点をもって扱いを異にする「信条」による「差別」にあたる。

(3)職業選択の自由侵害
・教員という職業に就くことについて→職業選択の自由は22条1項による保護
・教員という職業に就くことを、スカーフ着用を理由に制約

2.Yの主張
(1)について
・Yの削除行為は、直截的にXのスカーフ着用を禁じるものではなく、教員不採用としたにすぎない。
→信教の自由を害してない。

・Yには裁量、中立性保持という目的正当、未然防止する必要性大
→「公共の福祉」の制約にすぎない。

→合憲。

(2)について
・14条の「平等」はあくまで相対的平等を定めたものであり、合理的理由があれば許される。
・任命権はYにある。校内の宗教的中立性や生徒への悪影響を未然に防止する必要
→削除に合理的理由あり。

(3)について
(・任命権はYに。選考の結果合格した者に教員となる資格が与えられる→候補者にすぎないXには教員となる権利はまだ認められない。)
・「公共の福祉」(13、22条)の範囲内の制約であり合憲。

3.裁判所の判断
(1)について
・Yには任命権、採用につき裁量あり。

・信教の自由→精神的自由
・スカーフ着用→Xにとっては信教の自由の保護に必要不可欠
・しかし、外的行為、「公共の福祉」→制約あり。
・もっとも、スカーフ着用それ自体の制限ではないので、間接的制約にすぎない。

→合理的関連性の基準:裁量権講師の目的に合理的根拠が認められ、かつ、その手段が右目的との関係で合理性を有すると認められない場合は、裁量の限界を超えると認めるべき。

 ・目的→学校内の宗教的中立性の保持、公教育の観点より判断力が未熟な生徒に影響を与えることを防止→正当
 ・手段→・先生は公務員、公教育に携わる、生徒は判断能力未熟→中立性を保持するために人権制約する必要

      ・スカーフ着用それ自体は、周りに影響少ない→目的との関連性疑問
      ・本件削除のように厳しい制約をする必要性がない。
      ・Xの不利益大
      ・政教分離の危険はない。(目的効果基準。周りに影響少ないから。) 名簿から削除する行為と上記目的達成との関連性の検討

→結論はどっちでも。Y側の方が強いか?

(2)について
・14条1項は「信条」によって「差別」されない、「平等」に扱われることを定めている。(本件が「信条」の差別にあたるのか、迷った。)
・スカーフ着用を理由に削除、他の候補者とスカーフ着用という点をもって扱いを異にする「差別」にあたる。
・「平等」とは、事実的実質的差異を前提とした相対的平等をいう。

→右差別に合理的理由があるか検討。
・14条1項は例示列挙、特別意味なし。
・Yには裁量あり。
・スカーフ着用したXとそれ以外の候補者との区別について、その処分の理由に合理的な根拠があり、かつ、その区別が右理由との関係で合理性を有すると認められない場合には、もはや裁量の限界を超えるものであり、差別に合理的理由なし。
→・本件削除の目的:校内の宗教的中立性の保持、公教育の観点より判断力が未熟な生徒に影響を与えることを防止→正当
 ・先生は公務員、公教育に携わる、生徒は判断能力未熟→中立性を保持するために人権制約する必要

 ・スカーフ着用それ自体は、周りに影響少ない
 ・政教分離の危険はない。
 ・本件削除のように厳しい制約をする必要性がない
 ・Xの不利益大




(3)について
・スカーフ着用を理由に本件削除→教員という職業に就く権利を制約
・本件削除→消極目的→裁量縮小→厳格な合理性の基準→関連性検討。


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・裁量の問題にしてみた。
・答案表現法について、「折衷説」にしてみた。
 ポイントとしては、自分に有利な事実の主張のみ行う、「公共の福祉」については、目的・手段にあたる事実主張のみ指摘してみた。
・平等の違憲審査の書き方など、判例の表現を参考にして改善していきましょう。