未必の故意でも共謀成立=最高裁が初めて明示−不法投棄で業者の有罪確定へ」
11月16日17時31分配信 時事通信

「 相手が不法投棄するかもしれないと思いながら有害物質の廃棄を依頼した場合に、廃棄物処理法違反罪が成立するかが争われた刑事事件の上告審で、最高裁第 3小法廷(近藤崇晴裁判長)は16日までに、「未必の故意による共謀共同正犯の責任を負う」との判断を示した。実行犯でなくても、未必の故意による犯罪が成立すると最高裁が明確に述べたのは初めて。
 その上で、物流会社「相模運輸倉庫」(神奈川県)と元社長(73)ら5人の上告を棄却、5人の執行猶予付き有罪などが確定する。決定は14日付。」 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20071116-00000137-jij-soci
以上、記事よりコピー。


「共謀」については、犯罪を共同して行うあらかじめの合意及び正犯意思が必要とされている。
合意の存在についても勿論問題となりそうだが、後者の要件について、前田説や平野説では、犯罪全体を通じて、正犯者としての処罰に相応しい重要な役割を果たし、正犯者としての故意が必要としているが、今回の判決は、「故意」の点についてより広く該当性を認めている。

確かに、未必の故意も故意の一種ではあるし、あまり問題はないのかもしれないけど、もともと実行行為を担当していない者に正犯としての責任をどうやって負わせるか、という点がこの共謀共同正犯の議論の出発点であったのであるし、あまり正犯該当性の範囲を広げることには異論がありそう。

まだこの事件の事案をよく読んでいないけど、おそらく、犯罪全体を通した役割の重要性を考慮した上での判断だったのではないかと推測。

ただ、これがYahooのトップニュースで流れるとは驚き。



刑事実務基礎の課題提出。横領事件終局処分。
紙幅の関係でJ事件の背任罪については省略。予定では、これに詐欺罪と背任罪とを認めて、任務違反の要素が異なることを理由に、吸収関係に立たないっていう立論をする予定だった。ただ、これが正解だったのかも分らないが。

民事訴訟法レポート。
反射効。求償の循環について。昭和51年判決は、保証人の旧訴の蒸し返しの防止を意識していて、反射効肯定説は、保証人→主債務者→債権者→・・・っていう訴訟の繰り返しの防止を意識しているので、ここの議論についてはこの判決はあまり関係ないのかなというのが今の印象。そうすると、高橋評釈が素直に読めなくなってしまい、只今混乱中。